「『本領発揮』か?」
今朝、車に乗る時に、今までになく立派な巣が目に入りました。
これまでの巣がはっきりとした形を成さない断片だとしたら、多角形のいかにも「網を張っている」風情の巣です。しかも、端はしっかりとウィンドウを避けて、ウィンドウのカバーと、ドア本体と、ミラーに繋がれているので、窓を開けても壊れることはありません。どうして、クモにこのようなことができるのでしょう。
なんだか少し興奮して、また信号待ちの時にじっくりとその幾何学的な模様を確認するように眺めました。
大きさは大体A4判の書類よりひと回り大きいくらいでしょうか。
最初こそ、今まで見たことのなかったそのクモの巣らしい巣に興奮しましたが、よく見ると、放射線状に伸びる糸の間隔が不揃いです。これは、何か意図があるのか、それともアバウトなのかわかりませんが、その完璧ではないところが妙に心をくすぐります。
クモとの距離感をとっていたとはいえ、付き合いも長くなってくると、どうも身内のような感覚がでてきます。
帰りには、ガソリンスタンドに寄りましたが、スタンドのお兄さんとのやりとりで、巣が壊れてしまわないよう、窓を開けず、一回毎にドアを開けてやりとりするほど、気を使ってしまいました。
「私もね、今ちょっと挑戦していることがあるんだよね」
心の中で、そんな呟きが生まれました。
よくわかりませんが、クモの巣を見ていたら、そう云いたくなったのです。
実際今いくつかのことに挑戦しています。
クモは多分、まだ本領を発揮していないような、そんな気がしています。
私も多分、まだこれからも成長できるのではないか、という気がしています。
時々、人生があと何年くらい続くか、と考えることがあります。
例えば、あと40年、生きるとしたら、その時、日本はどうなっているだろう、と考えると同時に、自分や家族はどうなっているだろう、と思います。
どちらかというと、不安な気持ちになります。
逆に、あと10年とか、20年だとしたら、と考えると、気持ちがさっぱりします。
本当のところ、人生がいつまで続くのかは誰にもわからないでしょうが、今の自分は、ずっと先の未来の心配をし続けながら生きるよりも、限られた期間でやりたいことをやる、という生き方の方が性に合っているように感じます。
動物を見ていると、ほとんどの場合、「今この瞬間」を生きているように思えます。それはそれで趣があるように感じます。
でも、今日クモの巣を見てふと気がつきました。
クモの生き方には「時間」が組み込まれているな、と。
夜、再び車に乗ると、真ん中に大きな黒い影。獲物かと思ったら、クモそのものでした。
なかなか獲物がかかっているところは見かけません。
2011年11月04日
クモの巣・8
posted by サトウマリコ at 23:18| Comment(0)
| コラム
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