2011年10月24日

クモの巣・5

今日は、市内まで車を運転しました。車に乗る時は、相変わらずクモのことを忘れていて、走り出して信号待ちになったりすると、ふと運転席の脇を観察する癖ができてしまったようです。

今日のクモ。
まず、巣のほうは、随分と線が細い。量も少ない。
「まじめに作ってます?」と訊きたくなるくらい、気づきにくい巣です。


3日くらい前、道を歩いていた時のこと。
歩道からでも目につくような目立つクモの巣を発見しました。
それはもう、「うわ、クモの巣!」といやいやながらでも取り払いたくなるようなタイプのものでした。
糸が太いのか、糸の本数が多いのか、平面的な幾何学模様ではなくて、厚みがあって白い色を感じさせる巣。大きな黒っぽい何かがいくつか引っかかっています。そして、真ん中に、堂々と大きなクモが居座っています。

場所はというと、人の住んでいない荒れた家の玄関口。あたりにも草が伸びていて、クモにとっては、格好の場所ではないかと「場所選びのセンス」について、私の車に住んでいるクモとつい比較してしまいました。

しかし、場所選びのセンスはあくまでも「クモにとっては」というのが条件としてあって、「私としては」、なぜか車のミラーなんかに住んでしまうクモに好感を持ってしまうのです。


その3日前に見た巣を思い出しながら、運転席から、確認するようにミラーから伸びた糸を眺めてみました。ドアを開け閉めしたり、ウィンドウを降ろしても影響の無い張り方は、如才ない作り、とは思います。でも、こんなに少ない糸で、大丈夫なのか、と疑問がむくむくとわいてきます。

何度目かの信号。クモが顔を出してきました。まるで私に挨拶しにきたようだ、と思えるタイミングです。
クモは、どこから糸をだすのか? 他にもいろいろと調べればわかるのでしょうが、今は敢えてクモの生態をネットで検索しないことにしています。
とにかく、クモは、ミラーの裏から出てくると、糸を吐き始めました。
いつも見ているのよりも、白く太い…獲物が引っかかりやすそうに見える糸を数本真直ぐに張ったのです。

もちろん私は、運転中なので、ずっとクモを見ていたわけではありません。

次に見た時、クモは、先ほど吐いた糸をしまいました。本当に、しまったのです。どうにかして体内に戻したのでしょうか。再び、クモの巣は、細く華奢な作りに戻り、クモもすっとミラーの裏に引っ込んでしまいました。


人間は、時に動物の生き方を見て、感動し、学ぶことさえあります。
何も考えず、何も持たず、「今」だけを生きる動物を羨むことも敬うこともあるかもしれません。
私は、クモを見て、何を学びたいと欲しているのだろう、と考えました。多分、人は何かから学ぶ時、半分は自分でも気づいていることもあるのではないでしょうか。学びたいと思っている…つかみたくて、つかめそうで、つかめない、そんな時、何かから学ぶ準備ができているのではないのでしょうか。

とりあえず、今日のクモは、私に「やろうと思えばできるんだよ」というところを見せてくれたように映りました。クモが敢えてしている行動のわけを知りたいのか、その秘密は知らないままにしておきたいのか、どちらの気持ちもありますが、流れにまかせてみたいと思います。
クモとの距離感が、少しずつ縮まっていく感じがしています。
posted by サトウマリコ at 23:46| Comment(0) | コラム
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