本当のところ、このクモの巣の話を書き始めた頃には、私の「晴れ間の少ない気分」は大分変わってきていました。
のしかかるような重たい何かはやっと変化をし始めたのだと、少しですが確信を持てるようになりつつありました。
クモの巣に例えると、生きていくための「餌」となるものが、引っかかり始めたのです。
それは、ほんのちょっとした手応えであったり、人と人との繋がりで掛け合った言葉の数々であったり、以前自分がした行動に対して頂戴した、自分を後押ししてくれるようなもったいないような出来事でした。
そういった「出来事」が私の気分を変えていくのを感じつつ、少しの違和感も持ち続けていました。
こうして、偶然のようにふりかかる出来事によってしか、自分の道は切り開けないのだろうか? というコントロール感の無さかもしれません。「運のようなもの」に振り回される自分が情けなくもありました。
同時に「出来事がどうあっても動じない」ということと、「感情を麻痺させ押さえ込むこと」とは別のものではないか、と意識して考えるようになりました。
クモの巣の話を書き始めて2日目、車に乗ると、クモもクモの巣も、その存在を見つけることができませんでした。
私が書いたから、クモはどこかに行ってしまったのか、それとも、もっとよい場所を求めて移動したのか、それはわかりようもないことだけれど、少し寂しく感じていました。
そうしたら、今日、車に乗った時、いたのです。
まだクモは私の車のドアミラーに住んでいました。
信号待ちをしていると、ドアの付近にうごめくクモを発見。そして、車は走り出しているというのに巣作りを始めました。
風に揺れながら、糸をたぐって移動するクモ。
心なしか前より大きくなったようにも見えます。
再び信号で止まり、しげしげと見つめました。
最初は、簡単に風圧で飛んでいくだろうと思っていたそのクモの巣と、クモの様子を。
クモの糸の両端は、しっかりと車体にくっついています。きっと粘りがあるのでしょう。
そして、決してピンとは張っていません。ゆるく遊びがあります。風に吹かれても、ゆらゆらと揺れて、ちぎれることも、飛ばされることもないのです。
ぶらさがっているクモは手足を動かし余裕さえありそうです。
この糸でできた巣なら、風に吹かれても簡単には飛ばされないのだと、改めて理解しました。
時速50キロのスピードのなか、クモはやがてミラーの後ろへ隠れてしまいました。
2011年10月21日
クモの巣・4
posted by サトウマリコ at 19:55| Comment(4)
| コラム
先生は最近のご自身の心境をクモの巣に例えてらっしゃいますが、人はときどき比喩を用いて表現しますね。
僕も悩みを抱えるとき、ときどき比喩を使ってなんとなく納得しちゃう時があるのですが、その半面、比喩を使うことでなんら生産性は生まれないのではないかと思うこともありました。
例えば、
「人はもがけばもがくほど溺れる。だから逆らわずに海に漂っている方がいい」
とか。
それから、
名言、格言、ことわざなどもそうですね。
一見真理を突いているようでいて、なんら具体性がなく、逆に人を惑わす時さえあることもあるような気がして、時々抽象的な言葉をつかわないように意識することもありました。
でも、「比喩」って役に立つんですよね。
まず、イメージしやすい。つかみどころのない心の動きを別の言葉に置き換えることで、イメージしやすくなり、結果、悩みの解決の手助けにつながる可能性がある。
さらに、相手に伝いたいとき、「比喩」を用いることによって、伝わりやすく、説得しやすい。
こんなメリットがあるように思います。
さて、僕の巣にはまだまだ餌は引っかかってくれません。
そもそもまともに巣を作ってさえいません。
クモはどうなっていくのか?
私も家の中で小さいクモいても放置するタイプ。
今年、毛虫大発生で退治に追われ虫嫌いと化してましたが、クモは憎めない。
自分は夏からずっと曇り状態。雨じゃなきゃいいかとその日その日を何とかやり過ごしてます。
余計なお世話、運転はお気を付けて。(^_^)/~
全くというわけではありませんが、あまり「比喩」を意識しないで書いていました。
最近の心模様について考えていたら、ふと見た視界にクモがいた、というのが書き始めたきっかけです。
もちろん、文章を書いている時には、ベースになっている具体的な考えはいろいろあります。が、今回はそれこそ「クモをつかむような」ふわふわしたコラムを目指しています(笑)
確かに、名言、格言やことわざ自体が具体的に役に立つ場合ばかりではないと思います。
その言葉に出会った時のタイミングや自分との響き合いによって、自分自身が具体的に行動したり、考えたりできるようになればいいのかな、とモルダーさんの話をお聞きして思いました。
私も、ぱっとそらんじられる格言…所謂座右の銘というものには、今までに数えるほどしか出会っていません。
私のコラムでいうところの、人にとっての「巣」って、何なのでしょうね。読む方によって、いろいろなイメージをふくらませてもらえるといいなあ、と思っています。私としては、どんな人も目に見えない巣を張っているというようなイメージを持っています。
そうなんです、これでも「コラム」なんです(笑)
言いたいことがちゃんとあって、それをわかりやすく伝えることが大切なのだと思いますが、「不思議コラム」に挑戦中です。
毛虫はちょっと…ですよね。
今はあまり会う機会がないのですが、前の勤務先(!)で、生垣にアメリカシロヒトリか何かが大量発生して、それを退治している様子を「見学」していてクラクラ(@@)しました。
「とりぱん」という漫画でも、クモは家の中で放置されているみたいですね。
私は…状況によります。
nyadameさんは、曇り状態が続いていますか。
何となくですが、最近、曇りの人けっこう多いかも。。
運転、真面目に気をつけます。コラム書き始めてから気になって、つい脇見をしてしまいます(><)