2011年04月19日

震災 心のケア7 「様々な気持ち2・強さの内側にあるもの」

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3月11日の本震から、39日経ちました。

今、皆さんはこの期間を「長かった」と感じるでしょうか。「あっという間」と感じるでしょうか。「長かったような、早かったような……」と複雑に感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。

大きな地震は誰の身にも起こったことですが、人によって、この時間の過ごし方、経験されたことに差があると思います。

まして、もともとの環境、性格、事情が違います。

このシリーズの最初の記事でも「様々な気持ち」をテーマに書きました。

時間が経った今、沿岸から約100キロほどの内陸にいる私は、仕事(カウンセリング)、テレビやネットや雑誌などのメディア、あるいは、友人などプライベートでの繋がりも含め、少しずつですが、直接・間接にいろいろな情報を肌で感じています。
少しは気持ちが落ち着いたと思っていても、生々しい話に、圧倒され、ショックを受けることも正直あります。

同時に、もともと人間は、個人の価値観が違うので、当たり前といってもいいのですが、震災という共通の天災を前にしても、個々人の「違い」があるのだと、あらためて感じています。

津波の被害を受けた人でも、既に仕事に復帰され、避難所から仕事場へと往復している方もいます。もともとの海の仕事へ戻れたことを、希望の光を感じながら、沖へと船を出しているように見えます。

果てしない復旧の仕事に従事されている方、地域のために、公務を遂行されている方もいます。
本心は、余震や津波におびえ、内陸への移動を希望している方もいらっしゃるかもしれません。
一方で、何があっても、地元を離れず復興させようと心から望んでいる方もいます。

また、未だに家族の安否がわからずにいる方も多くいらっしゃいます。
残念な結果を受入れようとしている方もいます。

家、仕事、大事な人を失った方が大勢いらっしゃいます。





先日、プライベートで、自分も家族も、本当に<命からがら>、助かった女性とお話ししました。

私はその方と初対面でしたが、いきなり避難先の温泉宿で一緒に露天風呂につかりながらお話を伺いました。

避難の時の様子を聴いている時、「さっきまで、言葉を交わしていた人が、振り返ったら波にのまれていたの」という場面では、お互いに涙を流しました。湯煙の中、汗を掻いた顔に流れる涙は、多分一生忘れられない光景として私の目に焼きつくような感覚がありました。それは、酷く感情的なものでなく、まるで汗を掻くのと同じくらい自然に流れ、他の水滴と同じように拭われたのです。

お風呂から上がり、部屋で4人で話をしました。
先ほどの女性は言いました。
「今は毎日が楽しい」と。避難する時、持って出てきたものは、避難所に一泊する(つもりだった)ための服や靴下だけだったけど、他に必要なものがあったかな?と思い返しても、何もないのだそうです。
「大事なものは心の中にあるから」といって、今は何でもあるのよ!と、クローゼットに入っている支援物資の服や衛生用品を見せてくれました。

今回の震災にまつわる話をひとしきりした後で、彼女は言いました。
「哀しいか哀しくないか、決めるのは自分だと思う」と。

ちょうど海外へしばらく移住しようかと思っていたところだったから、ものを捨てる手間が省けたわ!というセリフは、決して無理をしているようには見えませんでした。

強い、弱い、という決め方はあまり好きではありません。人の心は強くなる時も弱くなる時もあるのが普通だと思うからです。

でも、彼女のことを、私は自分よりも「強い」と思い、羨ましく思いました。

最後にわかったことは、彼女が生きてきた歴史がすでに彼女を強くしていたのだ、ということです。
単身南米に行き、身ひとつで現地の村々を回って公衆衛生の仕事をしていた彼女は、日本とはまるで違う文化を知っているのです。お風呂に1カ月入らないことなど平気なのだそうです。他にも語りきれない多くの経験をしてこられたのだと思います。

もともと慰めるとか仰々しいお見舞いといった立場でお会いしたわけではないので、友人としてお話しさせていただいたのですが、沢山の、自分の知らない生き方を知りました。同時に、幻想としての枠に捉われない生き方をする、少し少数派かもしれない仲間に会えた喜びも感じました。
最後に、いとまの挨拶をする時には、自然に「ありがとうございました」という言葉が出てきました。





誰もが、彼女のようであれ、とは思いません。
これからまた、少しずつ、様々な状況にいる方に、微力ながら、心のケアについての話をお伝えできればと思っています。

写真は、素材サイトさんから頂戴しました。撮影場所は栃木県の温泉だそうです。
posted by サトウマリコ at 10:47| Comment(0) | 震災 心のケア
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