2007年02月13日

絵本の紹介です。

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高校生の頃のことです。

その頃、街中で高い建物といったら、12階建ての県庁か、ちらほらと姿を現し始めた高層マンションでした。
そのマンションのモデルルームだったのか何だったのか、今は思い出すことができませんが、ある日道を歩いていると高層階の部屋を覗いてみていいですよ、というような案内の張り紙があり、友人たちとエレベーターで昇ってみることにしたのです。

何階だったのかも覚えていませんが……、鮮明に覚えているのは、窓の外を見下ろしたら、道路を歩いている人がミニチュアサイズになっていて、ぽつんと小さく見えたこと。
さっきまでは、自分たちもあの中に混ざって歩いていたんだなあ、と思うと不思議な気分になりました。

多分、その日の私は何か悩みを抱えていたのだと思います。でも、そうやって小さくなった人間を上から眺めていたら、自分の悩みもちっぽけに感じて、悩んでいること自体がつまらないことのように思えたのです。
もちろん、下に降りて歩き始めたら、悩みが消えてなくなっていた…というわけではありませんでしたが。。
悩みの大きさが変わる感覚が新鮮だったのです。

そんな感覚を思い出させてくれるのが、バージニア・リー・バートン作、岩波書店刊「せいめいのれきし」という絵本です。
絵本としては、クラシックといわれる息の長い作品群のひとつで、多くの書店や図書館の児童コーナーに置いてあるのではないでしょうか。

私がこの絵本を知ったのは大分前のことですが、最近、ふとした拍子に思い出して「そうだ!あの絵本は買っておかなくちゃ」と書店に走ったというわけです。
なぜか、一家に一冊はあったほうがいいような気がしてドコモ提供

この絵本は、タイトルのとおり、地球上に生命が現れてから現在までの歴史を科学的な事実にもとづいて描かれた物語です。
多くの絵本のように、起承転結があって、ハラハラ、どきどき、という山場があるわけではなく、淡々と地球の歴史、生物の歴史がバートンの力強く魅力的な絵とともに描かれています。

そして、最後にわかることは、地球の歴史の長さと、自分という生命体の生きている長さがどれくらい違うか、ということ。
そして、自分が生まれるまで続いてきた生命の歴史、逆にいうと、その長い生命の歴史の一番先に自分がいるのだという実感を味わうことができるのです。

冒頭の、自分の悩みが小さくみえた、という話と共通する感覚もあります。
たとえば、どんなに長く苦しい人生に感じたとしても、考えようによってはあっという間の出来事なのかな、というように。
でもやっぱり、これも冒頭の話と同じことなのですが、自分にとっては、あっという間でもないし、悩みの渦中にいる時は、どうってことのない悩みなどないわけです。

ただわかるのは、大きな流れに包まれて自分がいる、ということでしょうか。
淡々と流れる時間、決して戻ることのない時間をどんなふうに生きていこうか、そんなことを考えさせられる本です。

私は大人になってから読みましたが、子供の頃に見ていたら、また違った感じがするのかもしれません目
posted by サトウマリコ at 00:11| Comment(0) |
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