2009年02月19日

「夢をかなえるゾウ」のこと

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ジャンルはどうあれ、「ベストセラー」だから、という理由だけではあまり本を買うことがありません。
その私が、今多くの書店で平積みされている「夢をかなえるゾウ」という本を先日買って読みました。

この本は、ガネーシャというインドの大衆神をかなり親しみ深いキャラクターとして設定し、主人公に「変わるための課題」を次々と出していく、という話です。
ジャンルとしては、自己啓発本といってもいいかもしれません。

話題になってからはしばらく経っているのに、今頃読もうと思ったのにはわけがありました。

少し話は飛びますが、私は心理学には潜在的に興味はあったと思うのですが、20代の頃はあまり意識していませんでした。
それでも、時々気持ちがモヤモヤしてくると、一般向けに書かれたやさしい心理学関係の本を手に取ることがありました。

<心を休ませる方法>とか、<○時間で元気がでる方法>とか、<○○の心理学>とか、<他人に操られないようにするには>とか、そういう感じのものです。

でも、ある時期から、興味を惹かれてもなるべくそういう本には手を伸ばさないことに決めました。(今は参考資料として入手することはありますが)

なぜかというと、読んだその時は納得できるような気がする。
でも、しばらくたって、その本の表紙を見て「何が書いてあったっけ?」と思い出そうとしても、よく覚えていないし、本を読んだことで何かが変わったという実感が持てないことに気づいたからです。

そして、自分には本で知識を得るよりも、実践的に覚えるほうが向いているのでは、と考えたのです。

毎日が目まぐるしく、時間はとても貴重なものに思えましたので、本を読むより、目の前にある仕事や人間関係の中でより多くの経験をすることを優先しようと考えました。そのほうが、何かを学び身につけることができるだろう、と思ったのです。

話は戻りますが、先日、何かの書評欄に、夢をかなえるゾウの著者水野敬也氏のインタビューが載っていました。
氏は、「今まで多くの自己啓発本を読んできたが、何も変わらなかった」自分がいたことが、この本を書いたひとつの理由である、というようなことを語っていました。

そこに共感したことが、買ってみる気になったきっかけだと思います。

正直、読み始めてすぐに「おお!」と思ったわけではありません。

変わりたいと思っている、でも、長年思い続けているだけで実際には何も変わっていない若いサラリーマンである主人公に、ガネーシャが最初に出した課題は「靴をみがく」こと。

ぶつぶつ言う主人公に妙にくだけた関西弁でガネーシャは「自分を支えている商売道具を大切にすること」「人のいうことに聞く耳をもつこと」の大切さを説きます。

こんな調子で、次々と課題が出されていくのですが、一日で読みきれる量ではないので、本を読み終わるまでの何日かかります。そうすると生活をしながらガネーシャの言葉が甦ってくるのです。

結果として、普段の<行動>が少しだけ変わるんですね。
そこがひとつ重要なのだと思います。

おかげで、前日に次の日のことを考えて何かをするとか、いつもより丁寧に掃除をしてすっきりした気持ちを味わうとか、大体できていたことでももっと気持ちよく実行することができたり、大きなことでいえば仕事に対する考え方も以前より少し変わったような気がします。

この時点で少なくとも読むだけではなく行動に移すことが大事だと考える著者の意図は成功していると思います。
でも、これだけではまだ、こういった類の本を読んだ直後にはあることかもしれませんので、ブログにこの本の話を書こうとまでは思いませんでした。

わざわざ書こうと思ったのは、実は最後のほうでガネーシャのセリフに、ちょっぴり泣かされてしまったからなのです。

ガネーシャの出す課題に次第に真剣に取り組むようになっていった主人公ですが、いつまでも<何かを頼りにしている>のでは、本当の意味で変わることはできないと考えたガネーシャは主人公の前から消えていきます。

その時のガネーシャの別れのセリフの一部。

***

  「成功しても、成功せんでも、気張って目標に向って努力しても、つい誘惑に負けて寝てしもても、ワシ、自分(※注)のこと好きやで。自分、覚えているか? 会社から白玉あんみつ持って帰って来てくれた時あったやん? あん時ワシ、やばかったもん。泣いてまうかと思ったもん。泣いてまうギリギリまで来とったもん」 (※注 自分=相手(主人公)のこと)

***

多分、ここがストンと落ちたのは、私がカウンセリングで触れるクライエントの方々とのやりとりの中で感じることに通じているからだと思うのです。

多くの人が各々の価値観を持っていて、目指すゴールは違うわけですが、共通しているのは、「もっともっと(がんばらなくちゃ)」「今のままじゃダメ」と感じている場合が多い、ということです。

そして、そのことを自分に向けてだけではなく、他人に対しても強く求めていることがあります。

向上心があるからこそ、理想が高いからこそ、焦りを感じ、不安を感じます。人と比べて落ち込んだり喜んだりします。
そんなことを通して、人は高い山に登っていくのかもしれません。そのこと自体は素晴らしいことだと思います。

でも、時々大事なものを見落としたまま、ずっと先のゴールだけを見て焦っているのではないかな?と思うことがあるのです。
大事なもの、というのは、うまくいえませんが、きっとそこにあることの有り難味に気づきにくい、でもなくては生きていけない、酸素のようなものかもしれません。

そのことをこのガネーシャのセリフが表しているように感じたのです。

ちなみに、本の締めくくりには主人公の未来が示唆されています。それもまた、ほっとできる読後感になりました。


……長くなりましたドコモポイント
そんなわけで、最近「やられた〜」と思った一冊をご紹介しました。



posted by サトウマリコ at 12:34| Comment(0) |
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