2006年07月27日

ピンクの雲

7月初めに母が入院したのですが、検査の結果、大病ではないことがわかり、そろそろ退院の日も近づいてきました。

短時間でも、ほぼ毎日顔を出すようにしていたところ、さすがに親子でも(親子だから?)話題も少なくなってきた今日この頃です。

そんなある日の夕方、ふと窓の外を見ると、珍しくすっきりと空が晴れていて、雨がちで見えなかった岩手山が大きく姿を現していました。
実は母の病室は、岩手山を見るには絶景スポットだったのです。

「今日は見えるね」
「うん」
言葉少なく会話を交わしながら、ぼんやりと二人で窓の外を眺めていました。
私はベッド脇の丸イスに腰掛けて。
母はベッドに座りながら。

その時…。
なんとも言葉に言い表せないような感情が、はっと私の胸に浮かんできました。
少し窓に顔を近づけてもっとよく見ようとした私の目に、夕焼けになる一歩手前のピンク色に輝く雲が飛び込んできたのです。

それは、そんなに大きな雲ではなくて、平べったい穏やかな感じのするもので、岩手山の中ほどにかかっていました。

それだけのことなのですが、はっとした自分が不思議でなりませんでした。
いったい何に自分は驚いたのでしょう。
岩手山のシルエットに映える雲の美しさだったのか、それとも…。

それで、ちょっと思い出しました。
中学生の頃、部活で選手になれないことがわかって、友達と泣きながら歩いた道の先に、真っ赤な夕日が沈みかけていたことや、特別美しく感じられた冬の星空のことなんかを。

そしていつか、未来の私は、こうして母と眺めた雲のことを思い出すのかなあ…とぼんやり思ったのでした。

自然は、私たち人間の小さな営みをすっぽり包み込んでしまうように思えます。
なんだか、不思議な気持ちです曇り
posted by サトウマリコ at 23:21| Comment(0) | TrackBack(0) |
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